かえるくんのおうちラボ blog

おうちでぼんやりと思うこと

ステロイドパルスをするよ② メリークリスマスパルス

さて波乱含みのステロイドパルス入院でしたが、すでに最初の3日間の点滴は終わっています。前回のステロイドパルス編はこちら

treefrog-labo.hatenablog.com

ステロイドパルスのスケジュール

というわけでステロイドパルスなのです。

このちょっとカッコいい呼び方の治療は何をするかというと、炎症を抑えることで有名な薬剤であるステロイドを、最初にバチコーンとぶちかまし病気を怯ませてから、少しずつステロイドの容量を下げていくという治療です。最初に津波のようなステロイドの波状(パルス)攻撃をするからステロイドパルスです、多分。

IgA腎症のステロイドパルスはざっくり2通りあるのですがぼくの場合は1年で投与を終えるステロイド総使用量が少ない、いわゆる仙台方式というものでした。

具体的なスケジュールはこんな感じ

プレドニゾロンはよく耳にするステロイドですが、メチルプレドニゾロンもその仲間で点滴でガツンと投与します。

3日連続でメチルプレドニゾロン500mg点滴(パルス)した後、内服でプレドニゾロン30mg連日4日間、これを1クールとして、3週連続で計3クール施行、3回目目のパルス後からプレドニゾロンは1日おきになります

ステロイドパルスで何をするのか

最初にバチコーンと何を抑えるかというと体に起きている炎症ですが、結局のところ炎症は外敵や原因物質が起こしているものではなく、それに対する免疫の応答なのでガツンとやっつけるものも病気の原因ではなく自分の免疫機能なのです。自己免疫疾患は自分の暴走する免疫そのものが原因ともいえなくもないのですが。

暴走する免疫にガツンとぶちかますの図

つまりステロイドパルスで何をしているかというと

1週目 ガツンと免疫をやっつけて牽制を続ける

2週目 ガツンと免疫をやっつけて牽制を続ける

3週目 ガツンと免疫をやっつけてちょっと牽制を弱める

4週目から このまま免疫が暴れないようにそーっとフェードアウトをはかる(1年かけて)

こんな感じのことをしてるのでしょう。しらんけど*1

ステロイドホルモンは健康な人のからだでも日常の生活を維持するために20mgほど分泌されていてプレドニゾロンに換算すると2.5~5mg程度になるそうです。3週間で960~1920日分ステロイドを入れるわけですっごいね!

こうなると元々体が作っていたステロイドホルモンは完全にお休みしちゃうので、すこしずつ復活してもらうためにもゆっくり減らすという面もあります。

 

ステロイドというお薬と副作用

ステロイドがどういうものか見ておきます。ちなみに今日のはなしは全部ぼくの勝手な解釈なので全部の文章に「しらんけど」って付け加えて読んでください、おねがいします。

 

ステロイド=副腎皮質ホルモンは発見、合成、臨床応用の道を見出した3人ともがノーベル賞*2を受賞したようなすごい薬ですが、反面たくさん副作用のある悪名高い薬でもあります。

感染症、満月様顔貌(ムーンフェース)、中心性肥満、遠位筋萎縮、多毛、高血圧、骨粗鬆症、耐糖能異常、消化性潰瘍、精神病増悪、・・・うぇーん進撃の巨人になっちゃうよ。

https://www.roshreview.com/blog/wp-content/uploads/sites/2/Image-Cushing-syndrome.png

Rapid Review: Cushing’s Syndrome - RoshReview.comより

 

僕的ステロイドの正体

ステロイドって、ぼくは生命を守る緊急避難のホルモンなんだなと理解しています。

生体は体のなかで外敵やなにかよからぬものがあるときには、炎症という戦争を起こしてこれを排除しようとします。炎症が起きると多くの場合は赤く腫れて熱を持ち痛みを出しつつ外敵などと戦い、原因が取り除かれるにつれて収束していくんです。

けれど、なかなか原因が取り除けない場合は炎症=戦争だけがエスカレートして戦場となったからだのそのものを延々と破壊してしまうのです。

そんな時の緊急避難の指令がステロイドホルモンです。

「もうやめやめー! 一旦武器をすてて撤退! とりあえず脳と体の真ん中だけ守ればいいから血糖と血圧上げて! 全体の栄養とか手足の筋肉とかはもういいから、体の真ん中に燃料あつめて!とにかくいまは命を守る行動をするよ!」

というものです。

結果、感染症は野放しに、骨や筋肉や皮膚は脆く、からだの中心だけがふくふくと肥えて、血糖も血圧も上がっちゃうようになるのです。

そのため、ステロイドホルモンは病気などによる炎症の体への深刻なダメージ抑えるためにいまでは(いまだに?)なくてはならない強力な薬ですが、副作用の管理にはとても気をつけなきゃならない薬なのも確かなのです。

副作用はいやーなものが揃ってるけど、それだけ深刻な炎症を抑える必要があるときには、自分の判断で急にやめたり増やしたりせずに、医師のもとでここぞという時に正しく使用していくのが大事なんだなと思います。

 

メリークリスマスパルス

というわけで12月23日から25日で最初の3日間のパルスがおわりました。

2日目の晩からしゃっくりがとまりませんが、ほかは特にどうということもなく。イブもクリスマスにも丁寧に様子を見にきてくれた看護師さんたちに感謝です。

クリスマスはトナカイを折ってすごしました

 

- - - - - - ✂︎ キリトリ- - - - - - 

次回のステロイドパルス編は副作用のコントロールとかかな。

ステロイドパルスをするよ③骨塩定量・皮膚科受診・眼科受診 - かえるくんのおうちラボ blog

 

(12月31日:12月30日から2回目のパルスが始まったのでタイトルを変えました)

 

*1:完全にぼくの解釈なので一言つけてしまいました

*2:https://ss-info.jp/column/column03.htmlこのページの「3名のノーベル賞受賞者」などおもしろいです