前回までのはなし
そんなこんなで、無事に扁桃摘出術が終わって家に帰ってきました。
主食に麺を希望しながらなかなか麺にありつけず（一食だけうどんは出たんだけどね）、自宅に帰ってやっと念願叶った久しぶりのチャンポンメンは、何故かまったく味気ないものだったのでした。
とはいえ、まだ食事が楽しみよりも苦行に近いころで、飲み込みもうまくできない状態だったので美味しくなくてもまったく気にしない。足りないカロリーはアルコールで（砂糖は1グラムで4キロカロリー、アルコールは1グラム7キロカロリーです）といいながらスコッチで喉を消毒していました。
翌日は皿うどん（入院前に通販で注文したリンガーハットのチャンポンメン・皿うどん冷凍セットがずっと食べたかったんです）を1人前の3分の1ほど食べたけれどやっぱりあんまり美味しくなくて、この時はいつものニッスイのが美味しいなとか話してました。夜のもやし坦々鍋では〆の麺を入れるにはちょっと味が薄いねなんて言って家族に「えー！？」と言われたり。
結局、味覚がおかしいと気づいたのは麺類じゃなく、ちゃんとご飯が食べられるようになってからのカレーライスのときでした。
その時に感じた味を一言でいうと「カレーを作った後の鍋でお湯を沸かして肉と野菜を煮たものライス」だったのです！
味覚がおかしい！と気づいてすぐに食事中だったけど台所にいって塩を繰り返し舐めてみてはっきりわかりました。塩味がないよ！
ふだんは塩をそのまま舐めると結構強烈にしょっぱくてびっくりするけど、そのときは小さじ1/4くらいの塩を一気に口に放りこんでジャリっと舐めてやっと「なるほど塩だな」ってわかる程度でした。
この写真は実際にその時にとったもので撮影日は10月4日だったので、味覚異常をはっきり自覚したのは手術から２週間以上たってからでした。手術してから美味しくないなあとは思っていたのですが、徐々に味覚障害が出てきて完成したのか、このころから普段の食事にもどったおかげではっきりしたのかはわかりません。
そのとき秒で目に入ったのは備蓄していた日清食品 シーフードヌードルでした。
幼い頃から血となり肉となってぼくを作ってくれた君なら、今のぼくの味覚が以前からどれほど変わってしまったのか教えてくれるはず。
・・・その時食べたシーフードヌードルはイカの煮汁に油を混ぜた味のラーメンでした。魚介の味わいやコクといったものは塩味と結びつかないとしっかり感じられないことや、麺の微妙な塩味がないと伸び切った麺を食べてるような感覚になることもわかりました。
日清シーフードヌードルを退院した日に食べていたらすぐに味覚の変化に気づいたのかもしれません。とはいえ遅きに失した感はあっても、言葉にも数字にも表し難い味覚の変化について、自分のなかでははっきりさせることはできたのです。つまりシーフードヌードルが昔のままの味で（といってもリニューアル後のWイカの味ですが）「ウマーッ！」と思えたらぼくの味覚復活の祝砲です。
日清のおくりものシーフードヌードルを羅針盤に、いつか塩味を取り戻して美味しいシーフードヌードルを食べるぞ！と強く思い、とりあえず近所のドラッグストアにビタミンBと亜鉛を買いに走った夜でした。
- - - - - - ✂︎ ｷﾘﾄﾘ- - - - - -
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